USAP(USA Pickleball)公式ルール解説
一般・国内大会で事実上の標準となる「USA Pickleball 公式ルール」を、ピックルボール・ラボが日本語でわかりやすく解説します。各項目に出典を明記し、原文の要点は短く引用しています。図解も交えながら、初心者でも今日から迷わずプレーできる形にまとめました。
※本ページは当店(ピックルボール・ラボ)による解説で、USA Pickleball 等の公式団体とは独立した非公式の解説です。正確・最新の規定は必ず公式(usapickleball.org)でご確認ください。本記事は2026年6月時点の情報に基づきます。
最終更新:2026年6月9日
目次
1. 基本(道具・コート・人数)
ピックルボールは、パドル(板状のラケット)で穴あきのプラスチックボールを、ネット越しに打ち合うネット型スポーツです。テニス・卓球・バドミントンの要素を併せ持つ競技です。ルールはシンプルで、初日から打ち合いを楽しめます。
- 道具:パドル(ストリングなし)/穴あきプラスチックボール(屋内用・屋外用がある)
- コート:縦13.41m × 横6.10m(バドミントンのダブルスコートと同サイズ)。テニスコートよりずっと小さい
- ネットの高さ:中央が約86cm(34インチ)、両端(サイドポスト)が約91cm(36インチ)
- 人数:シングルス(1対1)とダブルス(2対2)。日本ではダブルスが主流
▶ ゼロから始める方は ピックルボールの始め方 もどうぞ。
2. コートとライン
コートはネットを挟んで左右対称。各サイドには次のラインとエリアがあります。
- ベースライン:コートのいちばん後ろの線(サーブはこの後ろから打つ)
- サイドライン:コートの左右の境界線
- キッチン(ノンボレーゾーン/NVZ):ネットの両側にある幅2.1mのエリア。最重要(→ 5)
- センターライン:キッチンの後ろを左右のサービスコートに分ける線
- サービスコート:センターライン・サイドライン・キッチンライン・ベースラインで囲まれた左右の区画。サーブはここへ対角に入れる
ラインに触れて着地したボールは原則「イン」。ただしサーブだけはキッチンライン上に着地すると「ショート=フォルト」になる点に注意(→ 3・9)。
3. サーブのルール
サーブは各ポイントの最初の一打。USAPでは ボレーサーブ(ボールを落とさず空中で打つ)と ドロップサーブ(落としてバウンドさせてから打つ)の2種類が認められています。共通の原則は「下から(アンダーハンド)・ベースラインの後ろから・対角(クロス)の相手サービスコートへ・1回」。
- ボレーサーブ:打点はウエスト(へその高さ)より下、パドルの先端は手首より下、腕は下から上への弧を描く
- ドロップサーブ:自然に落として(投げ上げ・叩きつけ禁止)バウンド後に打つ。打点・手首の制限が外れるので初心者でも安定。バウンド回数に決まりはない
- サーブが キッチン(NVZ)またはキッチンラインに着地するとフォルト(サイド・ベースラインはセーフ)
- ネットに触れても正しいサービスコートに入れば有効(レット=打ち直しはありません)。サーブは1回のみ(セカンドサーブなし)
▶ 打ち方・コツの詳細は ピックルボールのサーブ完全ガイド へ。
4. ツーバウンドルール
ピックルボール独特の最重要ルール。サーブと、その返球(リターン)は、それぞれ必ず1回バウンドさせてから打ちます。
- サーブ → 受ける側が1バウンドさせてからリターン
- リターン → サーブした側が1バウンドさせてから3打目
- =最初の2打は両チームとも必ずバウンド。3打目以降はノーバウンド(ボレー)OK(ただしキッチンの制限あり)
このルールがあるおかげで「サーブして即ネットに詰めて叩く」展開が防がれ、ラリーが自然と続きます。
5. キッチン(ノンボレーゾーン/NVZ)
「キッチン」はネットの両側にある幅 2.1m(7フィート) のエリア(正式名称:ノンボレーゾーン=NVZ)。ピックルボール最大の戦略エリアで、初心者が最も違反しやすいルールです。
- キッチン内(ラインを踏む場合も含む)に立って ノーバウンドのボール(ボレー)を打ってはいけない
- ボレーの勢いで足がキッチンに入ってもフォルト(モメンタムルール)
- ただし バウンドしたボールなら、キッチン内で打ってOK(これがディンク)
▶ ネット際の技術は ディンク戦5つの基本 へ。
6. 得点の数え方
スコアは少し独特ですが、慣れれば簡単です。
- 得点できるのはサーブ側のみ(サーブ権を握っている間だけ点が入る)。これを「サイドアウト制」と呼びます。受ける側はラリーに勝ってもサーブ権を得るだけ
- 11点先取・2点差で勝ち(大会によっては15点のことも)
- ダブルスはスコアを3つの数字でコール(→ 7)
従来のピックルボールは サイドアウト制=サーブ側だけが得点できる方式です。一方 ラリースコアリング は、サーブ側・レシーブ側どちらでも、ラリーに勝てば1点が入る方式(テニスやバレーボールと同じ「点は点=point is a point」の考え方)。試合時間が読みやすくなる利点があり、2026年のUSAPでは一部の大会で 暫定フォーマット として採用が認められています。国内の多くの場面では、まず従来のサイドアウト制を押さえておけばOKです(→ 11)。
7. ダブルスの進行
ダブルスはサーブ側の2人が交互にサーブ権を持ちます。最初だけ特別なルールがあります。
- サーブのコールは「自チームの点・相手の点・サーバー番号(1か2)」の3つ。例「4-2-1」
- 得点したら同じサーバーが左右を入れ替えてサーブ。フォルトしたらパートナーがサーバー2に。2人ともフォルトでサイドアウト(相手へ)
- 偶数点=右側、奇数点=左側からサーブ
- ゲーム開始時だけは「0-0-2」からスタート。最初のサーブ側は2番手(サーバー2)扱いで始まるので、1度フォルトするとすぐ相手にサーブ権が移ります(先攻が有利になりすぎないための工夫)
▶ 2人の立ち位置・連携は ダブルスの陣形・ポジショニング へ。
8. フォルト(反則)一覧
次をやってしまうと、相手の得点またはサーブ権交代になります。
- ボールをコート外(アウト)に打つ/ネットを越えない
- ツーバウンドルールを守らずに返球をノーバウンドで打つ
- キッチン内でボレーする/ボレーの勢いでキッチンに入る
- 自分側のコートでボールを2回バウンドさせてしまう
- サーブを対角のサービスコートに入れられない/キッチン(ライン含む)に着地させる
- プレー中に自分の体や着衣にボールが当たる、ネットに触れる
9. イン/アウト・ライン判定
- 判定は「ボールが地面にバウンドした位置(接地点)」で決まる。接地点がラインに少しでも触れていれば「イン」、ラインの完全に外側に落ちれば「アウト」(公式:ラインに触れたボールは "in"/完全に外は "out")
- 真上から見た“影(オーバーハング)”では判定しません。実際に着地した位置=コートに残るバウンドの跡がラインに掛かっていれば「イン」(コートのどのラインでも同じ)
- 例外:サーブはキッチンライン上に着地すると「ショート=フォルト」(→ 3)。キッチンラインを越えて入れる必要がある
- 判定はプレーヤー同士で行うのが基本(セルフジャッジ)。自分側のコートの判定は自分たちが責任を持つ。疑わしいときは相手有利に取るのがマナー
10. 用具規定(USAP認定)
公式大会で使うには、パドルがUSAP認定(USA Pickleball Approved)である必要があります。
- パドル寸法:全長17インチ以内、かつ「全長+幅」が24インチ以内
- 表面・反発:表面粗さやスピン・反発(PBCoR)に基準があり、超えると認定されない
- 見分け方:「マークの有無」ではなく公式の Approved Paddle List で型番を検索するのが確実
▶ 認定の詳細は USAP認定パドルとは?、プロ向けの別認定は USAP vs UPA-A へ。
11. 2026年の主な変更点
- ラリースコアリングの暫定継続(用語の意味は→ 6):2026年もラリースコアリングが暫定フォーマットとして提供(ダブルスのダブルエリミネーション、ゴールデンチケット大会、全米選手権などは対象外)。採用可否は大会主催者が選択
- ラリースコアリング時、「得点はサーブ中に限る」という制限が撤廃=どちらの側もラリーに勝てば得点(point is a point)
- 恒久ルール化するかは2027年に判断される見込み
最新動向は 海外PBニュースまとめ でも追っています。
12. よくある質問(FAQ)
Q. サーブは2回打てますか?
A. いいえ、1回のみです(テニスのようなセカンドサーブはありません)。ネットに触れても入れば有効です。
Q. キッチンには絶対に入ってはいけない?
A. いいえ。バウンドしたボールを打つために入るのはOK。禁止なのは「キッチン内でノーバウンド(ボレー)」です。
Q. ボールがライン上に落ちたら「イン」?「アウト」?
A. ボールがバウンドした接地点で判定します。接地点がラインに少しでも触れていれば「イン」、ラインの完全に外側に落ちれば「アウト」。真上から見た“影”ではなく、実際に着地した位置(コートに残るバウンドの跡)で見ます。なお、サーブだけはキッチンライン上に落ちると「ショート=フォルト」です(→ 3・9)。
Q. 何点で勝ち?
A. 11点先取・2点差が基本(大会により15点も)。