JOOLA(ヨーラ)ってどんなブランド?強さと“認証騒動”まで正直に解説
「JOOLA(ヨーラ)って、結局どんなブランドなんですか? プロがみんな使ってるやつですよね?」——お店をやっていると、これは本当によく聞かれます。
よしコーチです。テニス歴15年、2026年にピックルボールにどっぷりハマって、それ以来いろんなブランドのパドルを試してきました。JOOLAは、いま世界のピックルボールを語るうえで絶対に外せないブランドです。ただ、キラキラした部分だけを紹介するのはフェアじゃない。世界最強のスターを擁する光の部分と、業界を揺るがした"認証騒動"という影の部分、両方を書きます。お店でよく聞かれる『で、結局これは"買い"なの?』に、僕なりに答えていくつもりです。
JOOLAは「卓球の老舗」だった
意外に思う方が多いんですが、JOOLAはもともと1952年にドイツで生まれた卓球ブランドです。社名は百貨店「Jooss」と町の名前「Landau」をくっつけた造語。70年以上の歴史を持つ、卓球界では超がつく名門なんですね。(ちなみに2019年にアメリカの会社が権利を取得していて、いまの"JOOLA Pickleball"はその米国チームが動かしています。)
転機は2020年。コロナ禍で卓球クラブが閉まっていたころ、オフィスの近くのコートで、のちに世界1位になる Ben Johns(ベン・ジョンズ) 兄弟がプレーしているのを関係者が見かけた——これがきっかけで、2022年に「JOOLA Pickleball」が本格始動します。卓球で培った「表面のザラつき」「コア素材」「エッジの形状」の技術を、そのままパドルに持ち込んだわけです。
💡 よしコーチのポイント ピックルボールの強豪ブランドには、卓球(JOOLA)、ラケットボール(Gearbox)、なんと野球グローブ(Franklin)出身まで、"異業種転向組"がゴロゴロいます。JOOLAの強さの源泉が卓球にある、と知っておくと、あの「パキッ」とした打感の理由が腑に落ちます。
立ち位置:Ben Johnsで一気に頂点へ
JOOLAの現在地を一言でいえば、「プロ・競技志向の代名詞」です。
なんといっても大きいのが、世界ランキング1位の Ben Johns と、スポーツ史でも珍しい "生涯契約" を結んでいること。さらに Collin Johns、Anna Bright、Tyson McGuffin(彼は元々Selkirkの顔でした)といったトップ選手を次々と獲得し、男子ダブルスの上位陣の多くがJOOLA、という状況を作り上げました。テニス界のレジェンドであるアンドレ・アガシとも提携ラインを展開しています。
市場データでも、北米市場の上位ブランド(Selkirk・JOOLA・Engageなど)の一角として、Selkirkと双璧をなす2番手につけています。「勢い」で言えば業界No.1と言っても大げさではありません。全体のランキングは【2025年版】ブランドランキングで詳しく書きました。
製品哲学:とにかく「パワー」を突き詰める
JOOLAのパドル作りは、はっきりしています。世代を追うごとに、反発(パワー)を高めてきたブランドです。
- Charged Carbon Surface:JOOLA版の生カーボン表面。強度と、あの「パキッ」とした弾き、スピンを両立させる狙い。
- Propulsion Core(特許出願中):ハニカムコアの外周に馬蹄形のフォームの通り道を仕込み、芯が"浮いて"動くことで、テニスのガット面のようにエネルギーを溜めて弾き返す。いわゆるトランポリン効果で爆発的なパワーを出す技術です。
代表モデルは、Ben Johnsのシグネチャーである縦長(イーロンゲイティド)の Perseus(ペルセウス)、初期の名機 Hyperion(ハイペリオン)、少し寛容な Scorpeus(スコーピアス) あたり。この「パワー志向」こそがJOOLAの魅力であり、実は後で話す"影"の原因でもあります。

どんな人に刺さるブランド?
ここまでの話をまとめると、JOOLAが向いているのはこういう人です。
- ドライブやスピードアップで、球にパワーをしっかり乗せたい人
- プロが実際に使う"本物"を持ちたい、競技志向の中〜上級者
- 生カーボン表面で、しっかりスピンを掛けたい人
逆に、これから始める初心者や、とにかく柔らかいタッチでコントロール最優先という人には、正直ちょっと持て余すかもしれません。打感が硬めで重厚なので、そこは好みが分かれます。パワー系とコントロール系の違いはコントロール系 vs パワー系で整理しているので、迷ったら読んでみてください。
避けて通れない「認証騒動」
さて、ここが一番大事なところ。JOOLAを語るなら、2024年の"認証騒動"に触れないわけにはいきません。お店として都合の悪い話ですが、隠すほうが不誠実だと思うので、正直に書きます。
1. Gen3 の脱認証(2024年) JOOLAは最強世代「Gen3」を投入しましたが、2024年5月、JOOLA自身が「認証に出したのと違うパドルだった」と申告し、USA Pickleball(USAP)が承認リストから削除する事態に。JOOLAは購入者への返金プログラムを出す一方で、USAPの判断を不服として法廷で争う展開になりました。
2. MOD TA-15 の"二度目"の禁止 その後に出した回避モデルも、反発が強すぎるとして、USAPが新設した反発係数テスト(PBCoR)で2025年に使用禁止に。1年あまりのあいだに2度、認証トラブルを起こしたことで、ブランドの信頼が大きく揺らぎました。
3. 訴訟が現在も続いている 消費者側の集団訴訟は約79万ドルで和解する方向ですが、USAPはJOOLAに反訴しており、「認証用にパワーを抑えた版を出し、市販ではより強い版を売ったのでは」という主張をめぐって、2026年時点でも係争が続いています。
💡 よしコーチのポイント ただ、これは"片面"だけ見て終わると不公平です。この一連の騒動が、業界全体の反発基準(PBCoR)を厳しくするきっかけにもなりました。そして現在市販されている Pro IV / Pro V 世代は、USAPとUPA-Aの両基準にきちんと適合しています。「攻めすぎてルールに引っかかった、そして正常化した」——今のJOOLAはそういう位置にいます。認証の仕組みそのものはUSAP認定とUPA-A認定の違いで解説しています。
弱点はほかにもあります。まず価格が業界でも最高帯で、「高い」という声は根強いこと。その背景には、Ben Johnsをはじめ多くのトッププロと結ぶ大型スポンサー契約のコストが製品価格に乗っている、という見方もあります(メーカーが公表しているわけではないので、あくまで一つの見方です)。実際、海外のレビューでは「価格ほどの価値を感じない」「似た打感なら、もっと手頃なパドルでも十分」「耐久性が価格に見合わない」といった、価格と品質のバランスへの不満も目立ちます。ほかにも、表面のザラつきや打感に個体差があるという口コミ、Propulsion Core特有のデッドスポットや層剥離の心配、そして"Ben Johns頼み"でモデルが多すぎて選びにくいという指摘も。ここは正直に受け止めるべきポイントだと思います。
日本での状況
日本には ヨーラ・ジャパン株式会社(2024年6月設立)という公式の日本法人があります。日本人初のアンバサダーにはソフトテニス出身の船水雄太選手が就任していましたが、同選手は2026年1月にDIADEM(ダイアデム)とアンバサダー契約を結んでおり、現在はJOOLAのアンバサダーではありません(日本人初の米国メジャーリーグ=MLP選手で、いまはDIADEMのシグネチャーモデルを使っています)。とはいえ、卓球ブランドとしての知名度が高いぶん、JOOLA自体は日本語の情報も比較的手に入りやすいブランドです。
一点だけ、購入時の注意を。JOOLAに限りませんが、海外ブランドの並行輸入品はメーカー保証が受けられないことがあります。とくにJOOLAは認証モデルの入れ替わりが激しかったブランドなので、「今どの世代・どの認証状況のモデルか」を確認して買うのが安心です。
まとめ:僕なりの結論
JOOLAは、パワーと話題性で今いちばん熱いブランドです。Ben Johnsという最強の看板、卓球由来の技術力——強さは本物。ただその裏に、"攻めすぎてルールに引っかかった"認証騒動と、最高帯の価格、打感の個体差という宿題を抱えています。僕がお店でお伝えするのは、「一番プロが使っているから」で飛びつくと、価格と硬めの打感で"思ってたのと違う"になりやすい、ということ。
だからこそ、スター選手やランキングではなく、自分のプレースタイルに合うかで選んでほしい。選び方の土台はパドルの選び方 完全ガイド、ブランドの見比べは主要ブランドまるわかり比較でどうぞ。
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References
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