ピックルボールとバドミントンの違い|コートはほぼ同じ、ネットとルールは別物
体育館のバドミントンコートで、ピックルボールをしている人を見かけたことはありませんか? 同じコートを使うなら、ルールも似ているのかな、と思いますよね。
よしコーチです。テニス歴15年、2026年にピックルボールに出会いました。今日はピックルボールとバドミントンの違いを、コート・ネット・道具・ルールの順に整理します。体育館のバドミントンコートでピックルボールをするときに、どの線が使えて、何を足せばいいかもまとめました。
共通点:コートの外枠はほぼ同じ大きさ
まずは共通点から。ピックルボールのコートは、バドミントンのダブルスのコートとほぼ同じ大きさです。
- ピックルボール:6.10m×13.41m(20フィート×44フィート。USA Pickleballの公式ルール)
- バドミントン(ダブルス):6.10m×13.40m(世界バドミントン連盟=BWFの競技規則)
差は長さで1cmほどです。ピックルボールは1965年、アメリカの家庭の庭にあったバドミントンのコートで遊び始めたのが始まりとされています。広さがそろっているのも、この生い立ちを知ると納得です。詳しくはピックルボールの歴史にまとめています。
ただし、同じなのはダブルスのコートです。バドミントンのシングルスは、左右のサイドラインが46cmずつ内側に入って、幅が5.18mになります。ピックルボールは、シングルスもダブルスも同じコートを使います。
ピックルボールとバドミントンの違いを表で比較
コートの外枠以外は、ほとんどが別物です。
| 項目 | ピックルボール | バドミントン |
|---|---|---|
| コート(ダブルス) | 6.10m×13.41m | 6.10m×13.40m(ほぼ同じ) |
| シングルスのコート | ダブルスと同じ | 幅が5.18mに狭くなる |
| ネットの高さ | 中央約86cm、サイドラインの上で約91cm | 中央約1.52m、ダブルスのサイドラインの上で1.55m |
| 打つもの | 穴のあいたプラスチックのボール(22.1〜26.5g) | シャトル(4.74〜5.50g) |
| ラケット | ガットのない板状のパドル | ガットを張ったラケット |
| 床に落ちたら | 1回なら弾んでから打ってよい(2回弾んだらフォルト) | その時点でラリー終了(自分のコートに落ちたら相手の得点) |
| ツーバウンドルール | あり(サーブとリターンは、それぞれ1回バウンドさせてから返す) | なし |
| キッチン(ノンボレーゾーン) | あり(ネットから2.13mの帯の中ではボレー(ノーバウンドで打つこと)禁止。バウンドした球なら中に入って打てる) | なし(ネット際でもノーバウンドで打てる) |
| サーブ | 下から打つのが基本(弾ませて打つドロップサーブも可)、1回だけ | シャトルを上向きに打ち出す(打つ瞬間のシャトルは床から1.15m以下)、1回だけ |
| スコア | 11点先取(2点差)、基本はサーブ側だけに点が入る | 1ゲーム21点のラリーポイント制(15点制へ移行中。国際大会は2027年1月4日から) |
コートの中の線は別物
外枠はそろっていても、中に引く線はまったく違います。
- バドミントン:ネットから1.98mのショートサービスライン、ダブルス用のロングサービスライン(いちばん後ろの線から約76cm内側)、シングルス用のサイドラインなど
- ピックルボール:ネットから2.13m(7フィート)のキッチンラインと、そこからベースラインまでのセンターラインだけ
ショートサービスラインとキッチンラインは、どちらもネットの手前に引かれ、「ここより前にサーブを入れてはいけない」という境目になる点も似ています。でも、同じ線ではありません。ルールの数字は1.98mと2.13mで、測り方の基準も違います(バドミントンは線のネット側の縁まで、ピックルボールは線の奥の縁まで)。実際の線どうしは、10cmほどずれています。

もうひとつ違うのが、線の上に落ちたサーブの扱いです。バドミントンでは、ショートサービスラインに乗ったサーブはイン。ピックルボールでは、キッチンラインもキッチンの一部なので、ラインに乗ったサーブはフォルトになります。
体育館のバドミントンコートでピックルボールをするには
外枠がほぼ同じなので、体育館のバドミントンコートは、ピックルボールにも使いやすい場所です。使える線と足すものをまとめると、次のとおりです。
- そのまま使える線:ダブルスの外枠(サイドラインといちばん後ろの線)と、センターライン(キッチンの中にはみ出す10cmほどは使いません)
- 足す線:ネットから2.13mのキッチンライン。ショートサービスラインで代用すると、キッチンが10cmほど狭くなってしまいます
- 使わない線:ショートサービスライン、ダブルス用のロングサービスライン、シングルス用のサイドライン
- ネット:バドミントンのネットは中央で約1.52mと高すぎるので、ピックルボール用のネットを持ち込みます
テープを貼ってよいか、ネットを持ち込めるかは施設ごとに違うので、先に確かめてください。線の引き方とネットの高さの測り方はピックルボールコートを自作する、体育館の探し方は室内ピックルボール完全ガイドにまとめています。
💡 よしコーチのポイント キッチンラインをショートサービスラインで済ませたくなる気持ちは分かりますが、ここだけは、キッチンラインのテープを足してください(ネットの両側に1本ずつ)。キッチンの奥行きが変わると、どこまで前に出てボレーしてよいかの感覚がずれてしまいます。テープを貼れない体育館なら、キッチンラインの両端に置くだけのマーカーでも目印になります。
ネットの高さが、ゲームをまるで変える
表のなかで、いちばんゲームの性格を分けるのはネットの高さだと僕は思います。
バドミントンのネットは中央で1.524m。大人が立つと顔のあたりに来る高さで、ピックルボールのネット(中央86.36cm)のおよそ1.8倍です。シャトルは床に落ちた時点でラリーが終わるので、すべてノーバウンドで打ち合います。高い打点から打ち下ろすスマッシュが、大きな武器になります。

ピックルボールのネットは中央で約86cmと、ぐっと低め。それなら、ネット際に詰めて上から叩けば簡単に決まりそうですよね。それを防ぐのがキッチンです。キッチン(ネットから2.13mの帯)の中では、ボレーができません。USA Pickleballのルール要約も、このルールの目的を「ゾーンの中からスマッシュを打たせないため」と説明しています。
禁止されているのはボレーだけなので、バウンドした球なら、キッチンに入って打ってもかまいません。そこで生まれるのが、相手のキッチンへネットすれすれに柔らかく落とし合う「ディンク」です。同じ広さのコートでも、ネットの高さひとつで点の取り方がここまで変わります。キッチンのルールはピックルボールの「キッチン」完全ガイドで詳しく解説しています。
道具とスコアの違い

- 打つもの:バドミントンのシャトルは、コルクの台に16枚の羽根を差したもので、重さは4.74〜5.50g(羽根の代わりに合成素材を使ったシャトルも認められています)。空気の抵抗で急に減速するのが特徴です。ピックルボールのボールは穴のあいたプラスチック製で、重さは22.1〜26.5g。羽根のシャトルと比べると4倍以上の重さがあり、床で弾みます。
- ラケットとパドル:バドミントンはガット(糸)を張った軽いラケット。ピックルボールは、ガットのない板状のパドルを使います。
- バドミントンのスコア:ラリーに勝った側に毎回1点が入るラリーポイント制で、2ゲーム先取の3ゲームマッチ。1ゲームは21点で、20対20になったら2点差がつくまで続き、29対29なら30点目を取った側の勝ちです。ただし、2026年4月の世界バドミントン連盟の総会で、1ゲーム15点(14対14からは2点差、20対20なら21点目で決着)に変えることが決まり、国際大会では2027年1月4日から使われます。日本ではそれより早く、トップリーグのS/Jリーグが2026-27シーズン(2026年10月31日開幕)から15点制を採用しています。
- ピックルボールのスコア:11点先取(2点差)が基本で、点が入るのはサーブ側だけです(サイドアウト制)。ラリーごとに点が入るラリースコアリング(バドミントンのラリーポイント制と同じ数え方)もありますが、2026年版の公式ルールでは、暫定ルールとして選べる方式のひとつという扱いです。点の数え方はピックルボールのスコア完全ガイドで解説しています。
バドミントン経験者がピックルボールを始めるなら
バドミントンは、学校の体育や部活で経験した人も多い、日本ではおなじみの競技です。ピックルボールは、まさにこれから広がっていく段階。公共体育館での開放日や初心者教室も、各地で開かれるようになってきました。専用のコートが少なくても体育館で始めやすいことは、ピックルボールが日本で広がりやすい理由のひとつだと僕は考えています。国内の状況は日本のピックルボール最新事情で紹介しています。
バドミントン経験者が最初に戸惑いやすいのは、たぶんネット際です。ネット前でノーバウンドの球を叩くのは、バドミントンでは当たり前。でもピックルボールでは、キッチンの外からしかボレーできません。一方で、ネット前での素早い反応は、ピックルボールでもそのまま活きると思います。
まとめ
ピックルボールとバドミントンは、コートの外枠こそほぼ同じですが、中の線、ネットの高さ、道具、スコアの数え方まで別物です。バドミントンは、シャトルを床に落とさずに打ち合う空中戦。ピックルボールは、低いネットとキッチンをはさんで、バウンドも使いながら駆け引きするゲームです。同じ体育館で、まったく違う面白さが味わえます。もうひとつの似た競技、パデルとの違いはパデルとピックルボールの違いで比べています。
ピックルボールが気になったら、まずは近くの体験会で一度打ってみてください。探し方と参加のマナーは、ピックルボール体験会・初心者教室の探し方と参加マナーにまとめています。
体育館で始めるときのネット選びや、最初のパドル選びで迷ったら、LINEで僕(よしコーチ)に気軽に相談してください。友だち追加は、ピックルボール・ラボ公式LINEからどうぞ。画面右下の緑の「LINE 公式」ボタンからも追加できます。
関連商品
関連記事
- ピックルボールの「キッチン」完全ガイド|ノンボレーゾーンの正しいルールと5つの勘違い【コーチ解説】 — ボレー禁止の範囲と反則を詳しく
- ピックルボールコートを自作する|公式サイズ・線の引き方・ネットの立て方 — 体育館で線を足すときの手順
- 室内ピックルボール完全ガイド|雨の日・冬でもできる室内コートの探し方と屋外との違い — 体育館の探し方
- ピックルボールのスコア完全ガイド|数え方・3桁コール・サイドアウトを図解 — サーブ側だけに点が入る数え方
- パデルとピックルボールの違い|壁・道具・ルールをコーチが比較 — もうひとつの「似て非なる競技」
- ピックルボール体験会・初心者教室の探し方と参加マナー|はじめてでも安心 — まずはコートに立ってみる
References
- BWF — Laws of Badminton(BWF Statutes Section 4.1・2025年4月26日施行 Version 5.0:Law 1 コートとネット/Diagram A コートの寸法/Law 2 シャトル/Law 7 スコア/Law 9 サーブ)
- BWF — BWF Members Approve 3×15 Scoring System(2026年4月25日・第87回総会。2027年1月4日から適用)
- 日本バドミントン協会 — S/Jリーグ 2026-27シーズン 開幕のお知らせ(15点3ゲーム制を採用・2026年5月14日)
- 日本バドミントン協会 — BWF総会決定を受けた「3ゲーム×15点制」の国内大会への導入について(2026年5月1日)
- USA Badminton — BWF Approves 3×15 Scoring System(2027年1月4日から適用)
- USA Pickleball — 2026 Official Rulebook(3.A コート/3.B ネット/4 得点/7 サーブ/10.A ツーバウンドルール/11.A ノンボレーゾーン/14.A ラリースコアリング〈暫定ルール〉)
- USA Pickleball — Equipment Standards Manual(2.D.4 ボールの重さ)
- USA Pickleball — Rules Summary(ノンボレーゾーンの目的)
- PPA Tour — Pickleball vs. Badminton
ブログを読んでも「自分にはどれが合う?」と迷うことはよくあります。よしコーチが直接お答えします。