上達のコツ

サードショット ドロップ vs ドライブ|3打目の使い分けをコーチが解説

よしコーチ
Pickleball Lab 代表
2026年6月26日
読了 約7分
4638字
サードショット ドロップ vs ドライブ|3打目の使い分けをコーチが解説

「3打目、ドロップで丁寧に落とすべき?それとも思いきりドライブで攻めるべき?」——コートでこの選択に毎回フリーズしてしまう、という声をよく聞きます。僕自身もまったく同じで、ピックルボールを始めたばかりの頃は、3打目が来るたびに頭が真っ白になっていました。

15年テニスをやってきて、2026年にピックルボールに出会った僕(よしコーチ)は、最初の頃「迷ったらとりあえずドライブ」で押し切ろうとしていました。でも、それだと勝ちきれない場面が多くて。今日は、サードショットの2大選択肢であるドロップとドライブをどう使い分けるかを、状況別にできるだけ具体的にお話ししてみます。

なお、「そもそもドロップって何?」という基本の部分は3rdショットドロップ完全攻略|テニス経験者が陥る落とし穴で詳しく書いているので、まずはそちらを読んでもらえると、この記事がよりスッと入ってくると思います。


サードショットのドロップとドライブの軌道とコート上の位置関係を示した図解

そもそもサードショットとは

「サードショット(3打目)」は、1つのラリーの3球目のことです。流れをおさらいすると、こんな感じです。

  • 1球目(サーブ):サーバーがアンダーハンドで対角にサーブ
  • 2球目(リターン):レシーブ側が返球し、そのままキッチンライン前まで前進
  • 3球目(サードショット):サーバー側がベースライン付近から返球——ここが分かれ道

ピックルボールにはツーバウンドルール(2バウンドルール)があって、サーブは必ずワンバウンドさせてから打ち返し、リターンもワンバウンドさせてから打ち返す、というのが決まりです。つまり3打目は、自分のコートでバウンドしたボールをグラウンドストロークで処理する場面、ということになります(ボレーで叩くことはできません)。この点はUSA Pickleballの公式説明でも「サーブはバウンドさせ、リターンもバウンドさせる。そのあとは両チームともボレー(ノーバウンドで打つこと)してよい」と整理されています。

この3打目で取れる主な選択肢が、ドロップドライブの2つ、というわけです。


ドロップとは・その狙い

サードショットドロップは、キッチン(ノンボレーゾーン)の手前あたりに、低く・柔らかく落とすショットです。山なりにふわっと上げるというより、ネットすれすれを通して、相手が攻撃しづらい高さに「沈める」イメージですね。

狙いはシンプルで、自分たちがキッチンラインまで前に詰める『時間』を作ることだと僕は考えています。柔らかいボールを足元に落とせば、相手はそれを強く叩けません。その隙に、後ろにいる自分たちも前に上がって、両者がキッチンライン前に並ぶ「対等な土俵」に持ち込める、というのがドロップの一番の価値だと思います。

ただ、ドロップは繊細なコントロールが要る分、浮くと一発で叩かれるリスクもあります。だからこそ練習が必要なショットで、ここでつまずく人が多いのも事実です。


ドライブとは・その狙い

一方のサードショットドライブは、速くて低い球で押し込む攻めのショットです。テニスのグラウンドストロークに一番近い感覚なので、テニス経験者にとっては正直「打ちやすい」選択肢だと思います。

狙いは大きく2つあるかなと思っていて、1つはそのまま速さで崩して甘い返球を引き出すこと、もう1つは相手の返球を浮かせて、続く5打目を打ちやすくすることです。後者については後半の「ドライブ&ドロップ」で詳しくお話しします。

ドライブの注意点は、相手がすでにキッチン前で構えている場合、速い球ほどそのまま速い球で返ってきやすい、ということ。強く打てば必ず有利、というわけではないので、ここが使い分けのポイントになってきます。


どっちを打つ?4つの判断軸

「結局どっちがいいの?」という話ですが、これは状況次第だと思います。僕が実際にコートで意識している判断軸を、4つに分けて整理してみます。

相手の位置(前にいるか・まだ後ろか)

一番大きいのが、相手の前後位置だと思います。

  • 相手がもうキッチンライン前に詰めきっている → ドロップ寄り。速い球は反応されやすいので、足元に沈めて時間を作るほうが分が良いことが多いです。
  • 相手の片方、または両方がまだ後ろに残っている(リターン後の戻りが遅いなど) → ドライブも有力。前にいない相手の足元やボディを速い球で突くと、崩しやすくなります。

「相手が前にいるかどうか」を一瞬チェックする癖をつけるだけで、選択の質はかなり変わると思います。

返ってきた球の高さ

自分が打つ前の、バウンド後の球の高さも大事です。

  • 腰より高く、気持ちよく打てる高さで来た → ドライブのチャンス。下から持ち上げる必要がないので、低く速い球を打ちやすいです。
  • 低い位置で、足元から拾うような球 → ドロップ寄り。低い球を無理にドライブすると浮きやすく、相手の好球になりがちなので、ここは丁寧に落とすほうが安全だと思います。

自分の体勢

意外と見落とされがちなのが、自分の体勢が整っているかです。

  • しっかり止まって、足が地面についた良い体勢で打てる → どちらも選べます。状況に応じて。
  • 走らされて崩れた体勢 → 無理せずドロップ(あるいは高めの安全なリセット球)で、まず状況を立て直すのが無難かなと思います。崩れた体勢からのドライブは、コントロールを失いやすいです。

自分のスキルレベル

最後は身も蓋もない話ですが、今の自分が安定して打てるショットを選ぶのが、結局いちばん無難なことが多いかなと思っています。

ドロップは習得に時間がかかるショットなので、始めたばかりの段階では「狙ってもネットやアウトばかり」ということも普通にあります。そういう時期は、ドライブ中心で組み立てつつ、並行してドロップを練習で育てていく、という進め方も現実的だと思います。逆に、ある程度ドロップが安定してきたら、状況に応じて両方を出し分けられると、戦術の幅がぐっと広がります。

ちなみに、トップレベルのプロでも常にドロップ一辺倒というわけではなく、状況に応じてドライブも積極的に混ぜているように見えます。「ドロップだけが正解」ではなく、「使い分けが正解」というのが、いまの僕の理解です。


テニス出身者の傾向と、おすすめの処方

テニス経験者の方とプレーしていて感じるのは、圧倒的にドライブに頼りがちということです。これは本当によく分かります。テニスのグラウンドストロークの延長で打てるドライブは気持ちいいし、最初はそれで点も取れてしまうので。

ただ、相手のレベルが上がってくると、「速い球は速い球で返される」場面が増えてきて、ドライブだけでは押しきれなくなってきます。そこで壁になるのが、やっぱりドロップなんですよね。テニス出身者にとってドロップが最大の課題になりやすいのは、こうした理由からだと思います。

だから僕がおすすめしたいのは、「ドライブを捨てる」のではなく「ドロップも引き出しに加える」という考え方です。武器を1つから2つに増やすイメージですね。テニスで培ったドライブはそのまま強みとして残しつつ、ドロップという『時間を作るショット』を新しく身につける。両方持てると、相手はどちらが来るか読みづらくなって、それ自体がプレッシャーになります。

ドロップの具体的な打ち方やコツ(スイング幅・パドル面の角度・足の使い方など)は、3rdショットドロップ完全攻略|テニス経験者が陥る落とし穴に詳しくまとめているので、処方箋としてぜひ合わせて読んでみてください。

ドライブ&ドロップ(3打目ドライブ→5打目ドロップ)

使い分けの発展形として、ぜひ知っておいてほしいのが「ドライブ&ドロップ」という考え方です。

これは、3打目をあえてドライブで打ち、相手の返球を少し浮かせておいて、続く5打目でドロップを落としてキッチン前に詰める、という組み立てです。3打目で一発で決めにいくのではなく、ドライブで相手を動かして、5打目で前進のきっかけを作る、という二段構えですね。

ドロップ単体がまだ不安定な段階でも、「速いドライブのあとは、相手の返球がやや甘くなりやすい」という性質を利用できるので、ドロップを成功させやすくなる、というメリットがあると思います。テニス出身者にとっては、得意のドライブを起点にできる分、入っていきやすい戦術かもしれません。

なお、3打目で前に詰めきれなかった場合の動き方(ベースラインからキッチン前までの『中間地帯』の進み方)については、トランジションゾーン攻略ガイドが参考になると思います。前に上がる過程は、ドロップ・ドライブどちらを選んでも避けて通れないテーマなので。


まとめ

  • サードショットの2大選択肢はドロップ(柔らかく落として時間を作る)ドライブ(速い球で攻める・崩す)で、どちらが正解かは状況次第だと思います
  • 判断軸は主に4つ。相手の位置・返ってきた球の高さ・自分の体勢・今の自分のスキルレベルを一瞬で見て選ぶイメージです
  • 相手が前に詰めきっている/球が低い/体勢が崩れている → ドロップ寄り、相手がまだ後ろ/球が高い/良い体勢 → ドライブ寄り、というのが僕の基本的な感覚です
  • テニス出身者はドライブに頼りがち。ドライブを捨てるのではなく、ドロップも引き出しに加えると戦術の幅が広がります
  • 一発で決めにいかず、3打目ドライブ→5打目ドロップ(ドライブ&ドロップ)で前進する組み立ても有効だと思います

サードショットの使い分けは、頭で分かっていても、コートで一瞬で判断するのは本当に難しいです。でも、「相手は前にいる?球は高い?自分の体勢は?」と問いを3つ持っておくだけで、迷う時間はかなり減ると思います。

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References

  1. USA Pickleball - How to Play (Two-Bounce Rule)
Author
よしコーチ / Pickleball Lab 代表
元スキー世界大会出場選手・現役テニスコーチ。2026年LAでピックルボールと出会い、国内外100本以上のパドルを試打。Engage Pickleball唯一の日本正規代理店(2026年5月時点)。
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