Coach Yoshi's Column

パデルとピックルボールの違い|壁・道具・ルールをコーチが比較

よ
よしコーチ
Pickleball Lab 代表
2026年10月5日
読了 約8分
4969字
パデルとピックルボールの違い|壁・道具・ルールをコーチが比較

パデル(Padel)とピックルボール(Pickleball)。どちらもテニスより小さなコートで打ち合うネット型の球技で、しかも「パデル」と、ピックルボールの道具の「パドル」はカタカナで1文字違い。混同しやすいのも無理はありませんよね。

よしコーチです。テニス歴15年、ピックルボールには2026年に出会いました。今日はパデルとピックルボールの違いを、コート・道具・ルールの順に整理していきます。


最大の違いは「壁」

パデルは、ガラスや金網の壁に囲まれたコートでプレーします。しかも壁は障害物ではなく、プレーの一部。壁に跳ね返ったボールを打ち返せる、スカッシュのような要素があります。

一方のピックルボールは、壁をプレーに使わない開けたコートです。周りにフェンスや体育館の壁があっても、ボールが当たった時点でそのラリーは終わり。この一点だけで、ゲームの性格はまるで変わります。


パデルとピックルボールの違いを表で比較

項目 パデル ピックルボール
コートの広さ 10m×20m 約6.1m×13.4m
壁 四方を壁と金網で囲み、跳ね返りもプレーに使う 使わない(当たったらラリー終了)
ボレーの制限 サーブだけはワンバウンドしてから返す サーブとリターンはワンバウンドしてから返し、キッチンの中ではボレー禁止
ラケット 穴のあいた厚いラケット(幅26cm・厚さ38mmまで) 穴のない薄いパドル(幅18〜20cmほどが一般的)
ボール テニスボールに似た低圧の専用球 穴あきのプラスチック球で、重さはパデルの半分以下
スコア 15・30・40のテニス式(デュースの決め方は大会による) 11点先取(2点差)、基本はサーブ側だけ得点
サーブ 床で弾ませて腰の高さ以下で打つ、2回まで 下からが基本(弾ませて打つドロップサーブも可)、1回のみ
形式 ダブルスが基本 シングルスもダブルスも

コート:囲まれたパデル、開けたピックルボール

パデルとピックルボールのコートを同じ縮尺で上から見た図解。左のパデルのコート(10m×20m)は、両端と側面の端の部分がガラスなどの壁、側面の中央が金網で、四方を囲まれている。右のピックルボールのコート(約6.1m×13.4m)は面積が半分以下で、壁は使わずラインだけで区切られ、ネットの両側にキッチン(ノンボレーゾーン)がある

パデルのコートは10m×20mで、テニスのダブルスコート(10.97m×23.77m)の4分の3ほどの広さ。四方を強化ガラスの壁と金網で囲みます。相手の打球が自分のコートの床で1回弾んだあとなら、壁に当たって跳ね返ってきても、床で2回目に弾む前に打ち返せばラリーは続きます。だから、後ろの壁を使って粘ったり、角度をつけたりと、立体的なラリーになります。ただし、自分の打球がノーバウンドで相手側の壁や金網に当たったら失点です。

ピックルボールのコートは、さらに小さい約6.1m×13.4m(バドミントンのダブルスコートと同じ大きさ)で、面積はパデルの半分以下。ネットの両側には奥行き約2.13mのキッチン(ノンボレーゾーン)があり、ここでの攻防が戦術の中心になります。日本のどんな場所でプレーできるのかは、テニスコート転用 vs ピックルボール専用コートで比べています。


道具とボール:厚いラケットと薄いパドル

どちらもガットのないラケットを使う点は共通していますが、中身は違います。

  • パデルのラケット:面に穴があいた、厚みのあるタイプ。規格では幅26cm・厚さ38mmまでで、カーボンやグラスファイバー製が主流です。手首にストラップを通して使う決まりもあります。
  • ピックルボールのパドル:穴のない薄い板状。長さと幅の合計に上限(約61cm)があるので、幅は18〜20cmほどが一般的です。パデルのラケットと比べると、細身で薄く、軽いのが特徴です。素材は、こちらもカーボンやグラスファイバーが中心です。

ボールも大違いです。パデルは低圧の専用球で、重さは56〜59.4gとテニスボールと同じ範囲。落とした高さの5割強まで弾みます。ピックルボールは穴のあいたプラスチック球で、重さは22.1〜26.5gと半分以下、弾むのは落とした高さの4割前後。だからピックルボールは、バウンドも飛びも控えめで、ラリーが続きやすくなります。パドル選びの考え方はピックルボールパドルの選び方 完全ガイドにまとめています。


ルール:テニス寄りのパデル、独自路線のピックルボール

  • スコア:パデルはテニスと同じく15・30・40と数え、6ゲーム先取で1セット(6-6になったらタイブレーク)。テニス経験者にはおなじみです。ただし40-40(デュース)からの決め方は大会によって違います。2026年からは国際パデル連盟(FIP)のツアーなどで、3回目のデュースになったら1ポイントで決める「スターポイント」が使われています。ピックルボールは11点先取(2点差)で、基本のルールでは点が入るのはサーブ側だけです。
  • サーブ:どちらも対角に打ちます。パデルはボールを一度床に弾ませてから、腰の高さ以下で打つ決まりで、チャンスは2回(テニスと同じ)。ピックルボールは下から打つのが基本で、チャンスは1回だけ。ボールを落として弾ませてから打つドロップサーブなら、下から打つ制約はありません。
  • ボレーの制限:パデルは、サーブをワンバウンドさせてから返す点はテニスと同じで、ボレーを禁止するエリアはありません。ピックルボールには、サーブとリターンをそれぞれ1回バウンドさせてから打つツーバウンドルールがあります。さらに、ネット手前のキッチンの中ではノーバウンドで打てません(ボレー禁止)。バウンドした球なら、キッチンに入って打っても大丈夫です。
  • ネット:高さはほぼ同じで、パデルは中央88cm・両端92cm、ピックルボールは中央約86cm・両端約91cm。ネットに触れて入ったサーブは、パデルでは打ち直し(テニスと同じ)、ピックルボールでは打ち直しなしで、そのままプレーが続きます。
  • 壁:コートのところで書いたとおり、パデルは床で1回弾んだあとなら壁の跳ね返りも打てます。ピックルボールは、壁に当たった時点でラリー終了です(下の図)。

パデルとピックルボールで、自分のコートに入ってきたボールの扱いを横から比べた図解。上のパデルでは、ボールが床で1回バウンドしたあと後ろの壁で跳ね返り、床で2回目のバウンドをする前に打ち返している。下のピックルボールは壁を使わず、床で1回バウンドしたボールを、2回目のバウンドの前に打ち返している。下に「パデルは壁の跳ね返りもプレーの一部」の一言

こうして並べると、パデルは「テニスのコートを小さくして壁で囲み、ダブルスに絞った」競技、ピックルボールは「テニス・バドミントン・卓球の要素を、独自ルールでまとめた」競技。僕はそんなふうに整理しています。ピックルボールのルールはピックルボールのルール完全ガイド、点の数え方はピックルボールのスコア完全ガイドで詳しく解説しています。


どっちが自分に向いている?

  • パデルが向く人:壁の跳ね返りまで使う、立体的なラリーを楽しみたい人。点の数え方やサーブの回数はテニスと同じなので、テニス経験者はなじみやすいと思います。コートはピックルボールの約2.4倍の広さで、動く範囲も広め。4人そろえて遊ぶのが基本です。日本パデル協会は、初心者や子ども、年配の方まで楽しめるスポーツだと紹介しています。
  • ピックルボールが向く人:ネット際の細かな駆け引きを楽しみたい人、近くで気軽に始めたい人。コートが小さくラリーが続きやすいので、はじめての人同士でもすぐ試合になります。テニス経験者なら、ボールを読む目やラケット操作が活きます。2人いればシングルスもできます。

テニスの経験が役に立つとはいえ、僕自身、はじめてピックルボールを打った日は5分で翻弄されました。そのまま武器になる技術と、いったん手放したいクセは、テニス経験者のためのピックルボール完全ガイドで詳しく書いています。


世界と日本での状況

生まれた時期は近く、ピックルボールは1965年にアメリカ・ワシントン州のベインブリッジ島で、パデルは1969年にメキシコのアカプルコで生まれました(パデルの年と場所はFIPの沿革によります)。いまでは、FIPの2025年の報告によると、パデルの競技者は3,500万人を超え、コートは150の国と20の地域に約7万7,300面あります。ピックルボールは、米国スポーツ・フィットネス産業協会(SFIA)の調査で、2025年にプレーした人がアメリカだけで約2,430万人にのぼりました。

日本では、2026年の愛知・名古屋アジア大会で、パデルが初めて実施競技になりました。ただ、プレーできる場所はまだ多くありません。日本パデル協会のサイトによると、施設は全国で25か所・50面です(2026年10月確認)。強化ガラスと金網で囲んだ専用コートが必要で、建てるのにそれなりの設備投資がかかることも、理由の1つだと思います。一方ピックルボールは、体育館やテニスコートを転用できる手軽さもあって、公共施設の開放日や初心者教室が各地で開かれるようになってきました。競技人口の最新データや、施設・団体の動きは、日本のピックルボール最新事情で紹介しています。

バスケットゴールのある体育館のピックルボールコートに、若い人から年配の方まで幅広い世代が集まり、笑い合っている様子


まとめ

パデルとピックルボールは、壁をプレーに使うかどうかを筆頭に、道具もボールもルールも別物です。パデルはテニスに近い数え方で、壁まで使う立体的なゲーム。ピックルボールは、キッチンとツーバウンドルールが生む駆け引きのゲームです。どちらが上という話ではなく、どんなラリーを楽しみたいか、近くでどちらができるかで選べばいいと僕は思っています。

ピックルボールが気になったら、まずは近くの体験会で一度打ってみてください。探し方と参加のマナーは、ピックルボール体験会・初心者教室の探し方と参加マナーにまとめています。

打ってみて自分のパドルが欲しくなったら、LINEで僕(よしコーチ)に気軽に相談してください。友だち追加は、ピックルボール・ラボ公式LINEからどうぞ。画面右下の緑の「LINE 公式」ボタンからも追加できます。


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関連記事


References

  1. International Padel Federation(FIP)— Rules of Padel(2026年1月1日適用:コート・壁・ボール・ラケット・サーブ・スコア)
  2. FIP — Star Point(2026年から導入のスコア方式)
  3. FIP — World Padel Report 2025(競技者数・コート数)
  4. FIP — History of Padel(1969年・アカプルコ)
  5. 日本パデル協会 — 公式サイト(国内の施設数)
  6. 日本パデル協会 — パデルのルール
  7. 日本パデル協会 — パデルの魅力
  8. JOC — 愛知・名古屋2026アジア競技大会 パデル
  9. ITF — Rules of Tennis 2026(テニスのコート寸法・テニスボールの重さ)
  10. USA Pickleball — 2026 Official Rulebook(コート・ネット・キッチン・ツーバウンドルール・サーブ)
  11. USA Pickleball — Equipment Standards Manual(パドルとボールの規格)
  12. USA Pickleball — What Is Pickleball(1965年・ベインブリッジ島)
  13. SFIA — 2026 Pickleball Single Sport Report(2025年の米国競技人口)
よ
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よしコーチ / Pickleball Lab 代表
元スキー世界大会出場選手・現役テニスコーチ。2026年LAでピックルボールと出会い、国内外100本以上のパドルを試打。Engage Pickleball唯一の日本正規代理店(2026年5月時点)。
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