ピックルボールのバックハンドの打ち方|片手・両手の使い分けとテニスのクセの直し方
テニスではバックハンドが得意だったのに、ピックルボールだと詰まる、浮く、ネットにかかる。気づくと、バック側に来た球まで回り込んでフォアで打っている。テニスから来た方がつまずきやすいショットの1つが、このバックハンドです。
よしコーチです。テニス歴15年、2026年にピックルボールに出会いました。先に結論を書くと、片手か両手かは、準備の時間があるかどうかで使い分ければ大丈夫です。直したいのは振り方より、大きなテイクバックと回り込みのクセ。この記事では、ピックルボールのバックハンドの打ち方をショット別にまとめ、最後に両手で打つ方のためのハンドルの長さの選び方も載せました。
ピックルボールのバックハンドが難しい3つの理由
テニスでバックハンドを打てる人でも、ピックルボールでは勝手が違います。理由は主に3つです。
相手が近く、準備の時間が短い
ネット前の打ち合いでは、両チームともキッチンラインのすぐ後ろに立ちます。キッチン(ノンボレーゾーン)は、ネットから7フィート(約2.13m)までの、ノーバウンドで打てないエリアのことです。キッチンライン同士で向き合うと、相手との距離は約14フィート(約4.27m)。テニスのように大きく引いてから振る時間はありません。
ボールが低く、テニスほど弾まない
ピックルボールのボールは穴のあいたプラスチック製で、テニスボールほど高く弾みません。打点が低くなるぶん、腰を折るのではなく、ひざを曲げて体ごと低く構える必要があります。テニスとの違いは、ほかにもテニス経験者のためのピックルボール完全ガイドにまとめています。
相手はバックハンド側を狙ってくる
USA Pickleballは、バックハンドは利き手と反対側で打つため、多くの選手にとってフォアより力も安定感も劣る、と説明しています。アマチュアではバック側でミスが出やすいとして、試合が始まったらすぐ相手の利き手を確かめ、バック側に球を集めることを勧めています。つまり、こちらのバックハンドも狙われます。
💡 よしコーチのポイント テニスでも、バックハンドは準備が遅れると詰まるショットです。ピックルボールは相手が近いぶん、その遅れがすぐに失点になります。振り方を直す前に、まず準備を早くする。僕はここから始めるのが、いちばんの近道だと思います。
バックハンドは片手か両手か:準備の時間で使い分ける
片手か両手かは、1つに決めなくてかまいません。場面で使い分けられます。ここから先に出てくるショットは、ノーバウンドで打つボレー(短く押し返すものをパンチボレーと呼びます)、キッチンに柔らかく落とすディンク、低く速く打ち込むドライブ、相手のサーブを返すリターン、コートの後ろから相手のキッチンに落とすドロップの5つです。打ち方は、後半の「ショット別」で説明します。
| 片手 | 両手 | |
|---|---|---|
| 得意なこと | 遠くの球に手が届く。体に迫った球にも間に合う | 面がぶれにくい。速い球にも打ち負けにくい |
| 向いている場面 | 体に迫る速い球のボレー | ドライブ、リターン、ディンク |
| 弱いところ | 面がぶれやすい | 届く範囲が狭くなる。体に迫った球には間に合いにくい |
使い分けの目安は、時間です。体を動かして準備する時間がある球は両手。もう体に迫っている球と、足が間に合わず手を伸ばさないと届かない球は片手です。体から少し離れているくらいなら、両手のほうが腕を伸ばして打ちやすいこともあります。

テニスで片手だった人
そのまま片手でかまいません。テニスで何年もかけて身につけた打ち方を、わざわざ捨てることはないと僕は思います。ネット前で体に向かってくる速い球は、片手のほうが間に合います。ディンクは片手でも打てますが、両手のほうが面が安定しやすいという解説もあるので、慣れてきたら両手のディンクも試してみてください。
ドライブを片手で打つときのポイントとして、Engage公式のInstagramは次の3つを挙げています。
- 利き手側の足(右利きなら右足)を前に踏み込む
- 手首の力を抜いて、ムチのようにしならせる
- 下から上へ振り抜く
テニスの片手バックハンドでは、手首を固めるように習った方も多いと思います。ここは感覚が違うところです。ただし、手首をしならせるのはドライブで振り抜くときの話。基本のパンチボレーやディンクでは、手首でこねずに面を固めて打ちます。
テニスで両手だった人
ドライブやリターンは両手のままで大丈夫です。握りは、利き手を下、反対の手を上に置きます。上の手は、下の手の指のすぐ上に並べるように添えます。
ただ、ネット前で体に迫ってくる速い球は、両手だと間に合わないことがあります。そういう球に備えて、片手のパンチボレーも練習しておきましょう。
バックハンドの握りと構え
握りは、テニスのボレーと同じコンチネンタル(包丁握り)に近い形が基本です。フォアとバックを持ち替えずに打てるので、ネット前の速い打ち合いにも間に合います。テニスの片手バックハンドで使うイースタンバックハンドに毎回持ち替えていると、ピックルボールでは準備が追いつきません。握り方の詳しい話はピックルボールのグリップ完全移行ガイドにまとめています。
構えでは、パドルの位置に気をつけます。USA Pickleballは、パドルをネットより高く体の前に出し、ひじも体の前に置いておくことを勧めています。パドルが下がっていると、持ち上げるだけで時間を使ってしまうからです。
ショット別のバックハンドの打ち方
ネット前のパンチボレー
相手の強い球の勢いを使って、短く押し返すボレーです。USA Pickleballは、強打を続けてくる相手への対抗策として、このバックハンドのパンチボレーを紹介しています。動きは次の4つだけです。
- パドルの面を、相手コートにまっすぐ向けて構える
- ひじは軽く曲げておく
- 球が来たら、狙う方向へパドルをまっすぐ押し出し、腕が伸びたところで終える
- 当てるのは体の前

振りかぶる必要はありません。相手の球の勢いを使って、早めに当てるだけで返ります。強打への返し方には、このパンチボレーのほかに、勢いを消して相手のキッチンに柔らかく落とすリセットもあります。浮いた球を攻めるときのパンチも含めた使い分けは、ボレーの基本で解説しています。
ディンク
キッチンに柔らかく落とすディンクは、腕ではなく肩で打ちます。下半身は正面に向けたまま上半身だけを回し、肩が回ったら面を少し開きます。手首でこねると、球が浮いて相手に叩かれます。ディンクの基本はディンク戦を制する5つの基本にまとめています。
ドライブとリターン
強く打つドライブと、相手のサーブを返すリターンは、両手が使いやすいショットです。
- 球が来たら、早めに肩を回して体を横に向ける。パドルを引いた形を先に作ってから振る
- テイクバックは小さく
- 当てるのは体の前。遅れると詰まって、腕だけで振ることになる
- 下から上へ、ボールを前へ押し出すつもりで振り抜く。順回転(トップスピン)がかかって、速い球でも相手コートに収まりやすくなる
ボールが低いぶん、ひざを曲げて打点に合わせることも忘れずに。ドライブとドロップのどちらを選ぶかはサードショット ドロップ vs ドライブ、リターンの深さはリターン(2打目)の基本で解説しています。
ドロップ
相手のキッチンに落とすドロップは、ドライブより上向きに振ります。ドライブがアルファベットの「C」を描くように前へ振り抜くのに対して、ドロップは「U」の字のように、パドルを先にボールより低い位置へ下ろしてから、下から前へそっと運び上げるイメージです。上向きに振るほど、飛ぶ距離は短くなります。ただ、力んで下からすくい上げると球が浮きます。ネットにかけるくらいなら、少し高めに入るほうがまだ次につながります。打ち方の手順はサードショットドロップの打ち方5ステップを見てください。
テニス経験者が直したい5つのクセ
どれもピックルボールのバックハンドでよく挙げられるミスで、テニスの打ち方が残っていると出やすいものです。

| クセ | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| テイクバックが大きい | 速い球に間に合わない。打点が遅れる | 肩を回して小さく引く。ネット前は振らずに押し出す |
| バック側の球を回り込んでフォアで打つ | 足が止まり、コートが空く | バックで打つ球だと決めて練習する |
| 腕だけで振る、手首でこねる | 面がぶれて球が浮く | 肩の回転で打つ。ディンクとボレーでは手首でこねない |
| 打点が体の横か後ろになる | 詰まって、当てるだけの弱い球になる | 準備を早くして、体の前で当てる |
| 腰から曲げて、ひざが伸びている | 低い球をネットにかける | ひざを曲げて、目線ごと低くする |
💡 よしコーチのポイント テニスでフォアに自信がある方ほど、バック側に来た球も回り込んでフォアで打ちたくなるかもしれません。テニスはコートが広く、回り込む時間がありますが、ピックルボールのネット前にはその時間がありません。最初はミスが増えてもかまわないので、バック側の球はバックで打つ、と決めて練習してみてください。
バックハンドの練習メニュー
- 一人なら壁打ち:バックハンドだけでラリーを続けます。壁打ちのやり方は一人でもできる練習メニューにまとめています
- 二人なら、バックハンドのディンクから1歩ずつ下がる:キッチンラインからバックハンドのディンクを打ち、うまく入ったら1歩下がります。ベースラインまで下がったら、今度は1歩ずつ前へ戻ります。ディンクの打ち方のまま距離を延ばしていくので、バックハンドのドロップの感覚がつかめます
- 両手の人は、上の手だけで打ってみる:利き手と反対の手だけでパドルを持ち、フォアハンドのように球を打ちます。慣れたら下の手を添えて素振りします。両手のバックハンドで振りを引っ張るのは上の手だ、という感覚がつかめます
試合でいきなり使うより、失敗しても困らない練習のラリーで、先に本数を打っておきましょう。準備を早くするための足の運びはピックルボールのフットワークで解説しています。
両手バックハンドなら、パドルのハンドルの長さも見ておく
両手でバックハンドを打つと、ハンドルに手が2つ並びます。ハンドルが短いと、2つの手が収まりきらず窮屈になります。
ハンドルの長さは、モデルによってかなり違います。同じSelkirkでも、VANGUARD Power Air のS2(面を縦に長く取った形)は4.375インチ(約11.1cm)、SLK Geoのイーロンゲイティド(縦長の形)は5.8インチ(約14.7cm)です(どちらもメーカー公表値)。Selkirkは公式の形状ガイドで、イーロンゲイティドの長いハンドルを「両手バックハンドでも握るスペースが十分ある」と説明しています。
ただ、長ければいいわけでもありません。USA Pickleballのルールでは、パドルは長さ17インチ(約43.2cm)以内、長さと幅の合計が24インチ(約61.0cm)以内と決まっています。ハンドルを長くすると、そのぶん面が短くなるか、幅の細い縦長の形になります。縦長の形は、幅が狭いぶんスイートスポット(芯)が狭く感じやすい形でもあります。形ごとの違いはパドルの形状ガイドにまとめています。

目安は、両手でも打つなら5.5インチ(約14cm)以上です。Selkirkも、5.5インチ以上の長いハンドルは両手バックハンドを好む選手に向く、としています。ピックルボール・ラボのパドル診断でも、スペックの好みでハンドルを「長め」にすると、5.5インチ以上のパドルから選びます。この質問は、レベルで「中級」「中上級以上」を選んだ方には必ず出ます。それ以外の方は、途中の「スペックの好みでも答える」ボタンを押すと出ます。片手でしか打たないなら、短めのハンドルでも困りません。
長さは、スペック表の「ハンドル長」か「グリップ長」の行で確かめられます。迷ったら、今使っているパドルを両手で握ってみてください。窮屈なら、そのハンドルの長さを測っておくと、次に選ぶときの物差しになります。
ハンドルが長めのパドル
ピックルボール・ラボで扱っているパドルから、目安の5.5インチより余裕のある、5.75インチ(約14.6cm)以上のハンドルを選べる6本を集めました。当店はEngageの日本唯一正規代理店で、Six ZeroとSelkirkも正規代理店として扱っています。長さはどれもメーカー公表値です。
- Engage Pursuit Pro1 Innovation:ハンドル6インチ(約15.2cm)で、この6本でいちばん長いハンドルです。両手で握っても窮屈になりにくい長さです
- Engage Pursuit Pro1 Elongated:ハンドル5.875インチ(約14.9cm)。グリップはテニスラケットと同じ八角形です。メーカーは、両手でバックハンドを打つ方にも握る余裕がある長いグリップだと説明しています
- Six Zero Coral Elongated:ハンドル5.75インチ(約14.6cm)。厚み16mmの縦長の形です
Selkirk OMNI、SLK ERA Power、SLK Geoの3本は、どれもイーロンゲイティドならハンドルが5.8インチ(約14.7cm)、ワイドボディ(幅の広い形)では5.6インチ(約14.2cm)です。商品ページで形を選べるので、ハンドルの長さを優先するならイーロンゲイティドを選んでください。厚みは、OMNIとERA Powerが16mm、Geoが14mmです。
ハンドル以外の好み(重さ、厚み、形)も合わせて選びたい方は、パドル診断を試してみてください。LINEのパドル相談でも、テニス経験のある方には、バックハンドが片手か両手かをうかがっています。今お使いのパドルの名前と、バックハンドを片手・両手のどちらで打つかをLINEで送っていただければ、合いそうな長さを一緒に考えます。
よくある質問
Q. ピックルボールのバックハンドは、片手と両手のどちらがいいですか?
どちらか一方に決めなくて大丈夫です。準備する時間がある球は両手、体に迫った球や、手を伸ばさないと届かない球は片手、と使い分けます。テニスで片手だった方はそのまま片手で、両手だった方はドライブとリターンを両手で打ち、ネット前で体に迫る速い球に備えて片手のパンチボレーも練習しておくと移りやすいと思います。
Q. バックハンドを打つとき、グリップは持ち替えますか?
基本は持ち替えません。テニスのボレーと同じコンチネンタル(包丁握り)に近い形で、フォアもバックも打ちます。テニスの片手バックハンドのようにイースタンバックハンドへ持ち替えていると、相手が近いピックルボールでは準備が間に合わなくなります。
Q. バックハンドのボレーが間に合わないときは、どうすればいいですか?
まず、構えたときにパドルが下がっていないか確かめてください。パドルはネットより高く、体の前に出しておきます。ネット前では振る必要はなく、面を相手コートに向けたまま、体の前で押し出すだけで返せます。
Q. 両手バックハンドに向くパドルはありますか?
ハンドルが長めのパドルが向いています。目安は5.5インチ(約14cm)以上です。同じモデルでも形によって長さが違うことがあり、たとえばSLK Geoはイーロンゲイティドが5.8インチ(約14.7cm)、ワイドボディが5.6インチ(約14.2cm)です(メーカー公表値)。ハンドルを長くすると面が短くなるか縦長になるので、長さだけでなく形も合わせて選んでください。
まとめ
ピックルボールのバックハンドは、相手が近く、ボールが低く、しかも狙われやすいショットです。片手か両手かは、準備の時間があるかどうかで使い分ければ大丈夫。握りは持ち替えず、パドルは体の前に高く構えて、ネット前は振らずに押し出します。テニスから持ち込みやすい大きなテイクバックと回り込みを直すところから始めると、ミスは減っていくと思います。
両手でも打つ方は、次のパドル選びでハンドルの長さも見てください。目安は5.5インチ(約14cm)以上です。
次にコートに入ったら、まずはパドルを体の前に高く構えて待つ。ここだけ意識してみてください。
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- テニス経験者のためのピックルボール完全ガイド|違い・活きるスキル・始め方をコーチが解説 — テニスとの違いをまとめて知る
References
- USA Pickleball — How to Hit a Backhand Punch Volley(パンチボレーの4つの動き・パドルをネットより高く体の前に構える・キッチンライン同士の距離は約14フィート)
- USA Pickleball — Pickleball Strategies for Targeting an Opponent's Backhand(多くの選手はバックハンドの力と安定感が劣る・試合が始まったら相手の利き手を確かめてバック側を狙う)
- USA Pickleball — 2026 Official Rulebook(キッチンはネットから7フィート・パドルは長さ17インチ以内、長さ+幅24インチ以内)
- USA Pickleball — Equipment Standards Manual(ボールの反発の規格)
- The Dink — The Complete Guide for a Better Backhand in Pickleball(両手の握り・肩の回転・ディンクとドロップの振り方・よくあるミスと練習)
- Pickleball Union — When to Switch from a One-Handed to a Two-Handed Backhand(準備の時間がある球は両手、体に迫った球は片手・両手はソフトゲームでも面が安定する)
- Pickleball.com — How Do I Hit a Two-Handed Backhand? Zane Navratil Shares Key Tips(上の手は下の手のすぐ上に添える・両手は攻めのディンクとスピードアップに向く)
- Pickleball.com — Greg Dow's One-Handed Backhand Counter(体の前で当てる・体から大きく離れた球は片手で手を伸ばすか、間に合えば両手に切り替える)
- Selkirk — The ultimate guide to pickleball paddle shapes(イーロンゲイティドの長いハンドルは両手バックハンドでも握るスペースが十分ある・S2はハンドルが短いぶん面が縦に長い)
- Selkirk — How to choose the best pickleball paddle grip shape for you(5.5インチ以上の長いハンドルは両手バックハンドを好む選手に向く)
- Engage Pickleball — Why Tennis Players Excel with the Engage Pursuit Pro1(八角形のテニス式グリップ・両手バックハンドのための長いハンドル)
- Engage Pickleball 公式 Instagram — How to Hit a One Handed Backhand Drive(片手のドライブの3つのポイント)
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