上達のコツ

ピックルボール・ダブルスのサーブ位置は右?左?|偶数・奇数ルールの基準を図解

よ
よしコーチ
Pickleball Lab 代表
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10708字
ピックルボール・ダブルスのサーブ位置は右?左?|偶数・奇数ルールの基準を図解

「あれ、次って右から打つんでしたっけ? 左でしたっけ?」ダブルスを始めたばかりのころは、ここで迷いやすいと思います。

よしコーチです。僕はテニス歴15年、2026年にピックルボールに出会って、それ以来どっぷりハマっています。ダブルスのサーブは、点を取るたびに2人の立つ場所が入れ替わり、サイドアウトのたびに打つ人も変わります。しかも「自分たちの点が偶数なら右、奇数なら左」という有名なルールを「いまサーブする人」に当てはめると、すぐに合わなくなります。「点は奇数なのに、なんで右から打ってるの?」という謎の正体まで、この記事で解きほぐします。

この記事では、USA Pickleball(アメリカの統括団体)の公式ルールブック(2026年版)に沿って、1ゲームの進行を追いかけながら、どの場面でどちら側から打つのかを図解します。サーブの打ち方そのものはサーブ完全ガイド、スコアの数え方はスコア完全ガイドにゆずって、ここでは「位置」に絞ります。


ダブルスのサーブ位置を決める「2つの大原則」

細かいケースに入る前に、土台になる決まりを2つ押さえます。あとの話は、全部この2つの応用です。

原則1:サーブは「対角(クロス)」へ打つ

コートのキッチンより後ろの部分は、センターラインで左右2つのサービスコートに分かれています。この記事では、ネットに向かって右を「右のサービスコート」、左を「左のサービスコート」と呼びます。サーブを打つ人は、自分の側のサービスコートの後ろ、ベースラインの外に立ちます(足の位置は後半で説明します)。

自分が右側から打つなら、ボールはネットを越えて相手の右のサービスコート(自分から見て対角)へ。左側から打つなら、相手の左のサービスコートへ。ふつうのダブルスとシングルスでは、まっすぐ正面(ストレート)に打つことはありません。公式ルールでも、サーブは対角のサービスコートへ入れ、相手のキッチン(ノンボレーゾーン)を越えなければならないと決まっています(7.E)。キッチンのラインもキッチンの一部なので、キッチンのラインに落ちたサーブもフォルトです(3.A.4.c・8.C)。サービスコートを囲むほかのライン(ベースライン・サイドライン・センターライン)に落ちたサーブはインです(3.A.4.f)。

ピックルボールのコートを上から見た図。ベースラインの後ろに立つサーバーが、右側から相手の右のサービスコートへ、左側から相手の左のサービスコートへ、それぞれ対角に点線でサーブする様子を並べた図解

💡 よしコーチのポイント 対角といっても、テニスのダブルスのサーブと同じです。右側から相手の右のサービスコートへ、左側から相手の左のサービスコートへ、"同じ側どうし"を斜めに結ぶだけ。狙いどころは、後半の「狙いどころ」で説明します。

原則2:左右が入れ替わるのは「自分たちが得点したとき」だけ

これが、この記事でいちばん大事なルールです。ダブルスでサーブ側の2人が左右を入れ替える(右の人が左へ、左の人が右へ動く)タイミングは、1つしかありません。

「自分たちがサーブしていて、点を取ったとき」だけです。

  • 自分たちが点を取った → サーブ側の2人が左右を入れ替えて、同じ人がもう一度サーブ
  • ラリーに負けた(フォルトした)→ 誰も動かない。相手に点は入らず(点が入るのはサーブ側だけ。4.A)、サーバーが交代するか、サイドアウトするだけ

USA Pickleball 公式サイトの解説(Pickleball Scoring & Positioning)にも、「サーブ側は点が入るたびに右から左・左から右へ動く。点が入らない限り左右を入れ替えない」とあります。ルールブックでも、サーバーは点を取るたびに左右を替えて打つ、と決まっています(5.B.5・5.B.6)。レシーブ側は点が入らないので、動きません。この「点を取ったときだけ動く」を覚えておくと、次からの話が全部つながります。


「偶数=右/奇数=左」の基準は「最初にサーブした人」

さて、ここからが本題です。よく言われる、有名な覚え方があります。

自分たちの点が偶数(0・2・4…)なら右、奇数(1・3・5…)なら左。

この決まり自体は、公式ルールにもあります。ただし、ここで言う「右に立つ人」は、いまサーブを打つ人ではありません。そのゲームで、チームの中で最初にサーブした人のことです。公式ルールではこの人を「スターティングサーバー」と呼びます(USA Pickleball 公式ルール 5.B.3)。

原則2で見たとおり、2人が左右を入れ替えるのは、自分たちが点を取ったときだけです。点が1つ増えるたびに1回入れ替わるので、自分たちの点の偶数・奇数と、スターティングサーバーの位置は、ゲームの最後まで必ずそろいます。

  • スターティングサーバー:自分たちの点が偶数なら右、奇数なら左
  • その相方:いつも反対側。点が偶数なら左、奇数なら右

この決まりは、サーブするときだけでなく、レシーブするときも同じです。

では「サーバー1」「サーバー2」は何かというと、サーブ権が回ってくるたびに決まり直す順番です。サイドアウトで自分たちにサーブが戻ってきたとき、スコアのとおり右に立っている人がサーバー1、相方がサーバー2になります(5.B.2)。自分たちの点が奇数なら、右にいるのはスターティングサーバーの相方なので、その人がサーバー1として右から打ちます。

つまり、サーバー番号を見ても、左右は決まりません。USA Pickleball の公式解説にも、サーバー番号はサーブ権が回ってきた1回分だけのもので、ゲームのあいだ同じ番号を持ち続けると思い込むのは初心者がしやすい勘違いだ、と書かれています。左右を決めるのは「自分たちの点」と「最初にサーブしたのはどちらか」の2つだけです。

スターティングサーバー(そのゲームで最初にサーブした人)とその相方の立つ側を対比した図解。スターティングサーバーは自分たちの点が偶数なら右・奇数なら左、相方はいつもその反対側。サーバー1は、サイドアウト直後に右に立っている人であることを示している

💡 よしコーチのポイント 迷ったときの合言葉は「最初にサーブした人が、偶数で右」。ゲームの始めに、2人のうちどちらがスターティングサーバーかを声に出して確かめておくと、あとで迷いません。大会では、スターティングサーバーが大会の決めた目印を身に着けることになっています(18.C)。それでも分からなくなったら、サーブの前に相手チームに「正しいサーバーは誰ですか」と聞いてかまいません。聞かれた側は答えることがルールで決まっています(5.C)。


2人サーバー制と「0-0-2」の謎

立つ側の話をきちんと理解するには、ダブルス独特の「2人サーバー制」を避けて通れません。ここも公式ルール(2026年版・5.B)のとおりに整理します。

ダブルスでは、チームの2人がそれぞれサーブ権を失ってから、サーブ権が相手に移る(サイドアウト)のが基本です(5.B)。

  1. まずサーバー1が打つ。点を取り続ける限り、左右を入れ替えながら打ち続ける
  2. サーバー1でラリーに負けたら、サーバー2(相方)に交代。サーバー2も点を取る限り打ち続ける
  3. サーバー2でもラリーに負けたら、サイドアウト。相手チームのサーブになる

だから、サーブの前にコールするスコアは3つの数字で、「自分たちの点・相手の点・サーバー番号(1か2)」の順です。このコールはルールで決まっていて、ふつうはサーバーがします(6.B・6.B.2)。4-2-1なら「自分たち4点・相手2点・サーバー1がサーブ」という意味です(数え方の詳細はスコア完全ガイドにゆずります)。

なぜゲーム開始だけ「0-0-2」なのか

ここで「?」となりやすいのが、ゲームのいちばん最初だけ、スコアが0-0-2から始まるというルールです。0点なのに、なぜ「サーバー2」から?

ルールブックに理由までは書かれていませんが、USA Pickleball 公式サイトの解説では、先にサーブするチームの有利を小さくするためと説明されています。もし先攻チームも最初から2人ともサーブできると、後攻より得点のチャンスが多くなってしまいます。そこで、ゲーム最初の1回だけは、先攻チームは1人しかサーブできません(5.B)。その1人はサーバー2として扱われるので(5.B.2)、この人がラリーに負けたら即サイドアウト。だから0-0-2とコールします。

このとき打つのは、右に立っている人です。右に立つのはそのチームのスターティングサーバーで、0点=偶数なので右から打ちます。この人が、ゲームの最後まで「偶数なら右・奇数なら左」の基準になります。


1ゲームを追ってみよう:0-0-1・1-0-1・1-0-2はどっちから打つ?

ここでいよいよ、「サイドアウトしたあと、0-0-1・1-0-1・1-0-2のとき、どっちから打つのか?」に、実際のゲーム進行を追いながら答えます。

登場人物は、あなたのチーム(田中さん・佐藤さん)と、相手チームとします。ゲームは相手チームのサーブ(0-0-2)で始まりました。あなたのチームは、田中さんをスターティングサーバーに決めています。0点(偶数)なので、田中さんが右、佐藤さんが左に立っています。相手チームが最初のラリーに負けたとします。0-0-2では1人しかサーブできないので、その時点でサイドアウトです。ここから、あなたのチームにサーブが回ってきた場面を追いかけます。

ダブルス1ゲームの流れを5コマで追った図解。相手の0-0-2で始まり、0-0-1は田中さんが右、1-0-1は田中さんが左、1-0-2は佐藤さんが右、サイドアウトが2回続いたあとの1-0-1はサーバー1になった佐藤さんが右から打つ

場面1:0-0-1 → 右から(田中さん・サーバー1) サイドアウト直後、あなたのチームは0点(偶数)です。サイドアウト直後は、右に立っている人がサーバー1(5.B.2)。右にいるのはスターティングサーバーの田中さんなので、田中さんがサーバー1として、右から対角へサーブします。

場面2:田中さんが点を取った → 1-0-1 → 左から(同じ田中さん) 田中さんのサーブで1点。ここで原則2のとおり、田中さんと佐藤さんが左右を入れ替えます。田中さんは左へ。スコアは1-0-1で、サーバーはまだ田中さん(サーバー1)です。1点=奇数なので、スターティングサーバーの田中さんは左。だから左から打ちます。点を取ったら反対側から、同じ人がもう一度。これがダブルスの基本のリズムです。

場面3:田中さんがラリーに負けた → 1-0-2 → 右から(今度は佐藤さん) 今度は、田中さんのサーブで始まったラリーに負けました。ここでは誰も動きません(原則2)。サーブはチームの中で佐藤さん(サーバー2)に移り、スコアは1-0-2。場面2で田中さんが左に動いたので、佐藤さんは右にいます。だから佐藤さんは右から打ちます。

ここが最大のヤマ場です。スコアの「1」は奇数なのに、佐藤さんは右から打ちます。「奇数=左じゃないの?」と混乱しやすいところですが、「偶数=右・奇数=左」はスターティングサーバーの田中さんの話です。田中さんは奇数なので左。佐藤さんはいつもその反対なので右。それだけのことです。

場面4:佐藤さんもラリーに負けた → サイドアウト → 相手チームのサーブへ 佐藤さんも点を取れなければ、2人ともサーブ権を失ったのでサイドアウトです。今度は相手チームが0-1-1からサーブします。あなたのチームは1点(奇数)のままなので、レシーブのあいだも田中さんは左、佐藤さんは右です。

場面5:相手もサイドアウト → 1-0-1 → 右から(今度は佐藤さんがサーバー1) 相手チームも2人とも点を取れずにサイドアウトして、あなたのチームにサーブが戻ってきました。あなたのチームは1点のままなので、田中さんは左、佐藤さんは右に立っています。サイドアウト直後は、右に立っている人がサーバー1です。だから今度は佐藤さんがサーバー1として、右から打ちます。

コールは場面2と同じ1-0-1なのに、場面2は田中さんが左から、場面5は佐藤さんが右から。同じコールでも、打つ側が違うことがあります。

まとめ表:この例のコールと打つ側(あなたのチームのスターティングサーバー=田中さん)

場面 コール 打つ人 打つ側 理由
開始 0-0-2 相手チームのスターティングサーバー 右 0点=偶数で右。先攻チームは1人だけで、ラリーに負けたら即サイドアウト
場面1 0-0-1 田中さん(サーバー1) 右 0点=偶数で、スターティングサーバーの田中さんは右
場面2 1-0-1 田中さん(サーバー1) 左 点を取って入れ替わった。1点=奇数で田中さんは左
場面3 1-0-2 佐藤さん(サーバー2) 右 交代では誰も動かない。佐藤さんは田中さん(左)の反対で右
場面4 0-1-1(相手のサーブ) 相手チーム(サーバー1) (あなたのチームは受ける) 1点=奇数で、田中さんは左・佐藤さんは右のまま
場面5 1-0-1 佐藤さん(サーバー1) 右 田中さんは左のまま。サイドアウト直後は、右にいる佐藤さんがサーバー1

これが冒頭の疑問への答えです。場面3の1-0-2で佐藤さんが右から打つのは、サーバー番号が2に変わっただけで、2人は一歩も動いていないから。場面2と場面5は、どちらも1点なので田中さんは左にいます。違うのは、サーブ権が回ってきたときに右にいたのが誰か(=誰がサーバー1になったか)だけです。コールの数字だけで左右を決めず、「最初にサーブしたのはどっち?」から考えれば迷いません。


【例題】あなたならどっちから打つ?

理解を確かめるために、例題を4つ。頭の中で答えてから、下の解答を見てください。

例題1:コールは6-3-1。あなたは、このゲームで自分たちのチームで最初にサーブした人(スターティングサーバー)。どちらから打つ? → 右。スターティングサーバーは偶数で右。6は偶数です。コールの最後の「1」(サーバー番号)は、左右には関係ありません。

例題2:コールは3-5-2。スターティングサーバーは相方で、いまサーブするのはあなた。どちらから打つ? → 右。3は奇数なので、スターティングサーバーであるあなたの相方は左。あなたはいつもその反対側なので、右です。

例題3:サイドアウトでサーブが回ってきた。自分たちは5点、相手は7点。あなたはスターティングサーバー。最初にサーブするのは誰? → 相方。5は奇数なので、あなたは左、相方が右。サイドアウト直後は右に立っている人がサーバー1なので、相方がサーバー1として5-7-1とコールし、右から打ちます。

例題4:0-0-2で始まったゲーム。先攻チームのあなたがサーブして、ラリーに負けた。次にサーブするのは? → 相手チーム。開始の0-0-2は「先攻チームは1人だけ」の例外です。ラリーに負けた時点でサイドアウトなので、あなたの相方は打たずに、相手チームのサーブ(0-0-1)に移ります。

💡 よしコーチのポイント スコアのコールは、上手な人だけがやるものではありません。ダブルスでは、サーブの前に3つの数字をコールすることがルールで決まっていて、ふつうはサーバーがコールします(6.B・6.B.2・6.C)。コールすると、自分たちの点と立ち位置が合っているかをその場で確かめられます。分からなくなったら相方に「今、何番手?」と聞いていいですし、サーブの前なら相手チームにスコアや正しいサーバーを聞くこともできます(5.C・6.E.1)。


足はどこに置く? フットフォルトを避ける

「どちら側から」が分かったら、次は足をどこに置くかです。ここを外すと、せっかく良いサーブでもフットフォルトになり、そのラリーは負けになります。公式ルール(2026年版・7.A)が定める条件は、打つ瞬間に次の3つを全部満たすことです。

ベースラインの角を拡大して上から見た図。サーブを打つ瞬間に足を置いてよい場所(ベースラインの後ろで、サイドラインとセンターラインの延長線の内側。延長線の上はセーフ)を示し、ベースラインを踏む・延長線の外に出る反則の例を×で示したフットフォルトの図解

  1. 少なくとも片足は、自分の側のベースラインの後ろの地面についていること(打った後は踏み込んでOK)
  2. どちらの足も、ベースラインを踏んだり、コートの中に入ったりしていないこと(ベースラインもコートの一部なので、つま先が線に触れただけでもフォルト)
  3. どちらの足も、サイドラインの延長線とセンターラインの延長線より外に出ていないこと(延長線の上はセーフ。外にはみ出すとフォルト)

3つ目は見落としやすいと思います。コートの外側(サイドラインの延長線の外)や、真ん中に寄りすぎてセンターラインの延長線を越えたところに足があると、これもフォルトです。「ベースラインの後ろで、左右は自分の側のサービスコートと同じ幅」という四角い枠の中に立つ、とイメージしてください。

💡 よしコーチのポイント 対策はシンプルで、ラインから数センチ後ろに下がって立つこと。線ぎりぎりに立つ癖があると、勢いでつま先が乗りがちです。ほんの少しの余裕が、無駄なフォルトを減らしてくれます。ボレーサーブとドロップサーブには、それぞれ打ち方のルールが別にあるので、そちらはサーブ完全ガイドで確認してください。


相方(パートナー)はどこに立てばいい?

「自分の位置は分かった。じゃあ、サーブしない相方はどこに立つの?」と思った方もいるはずです。結論から言うと、サーブ側の相方の立ち位置に決まりはありません。ネットの自分たちの側であれば、コートの外でもかまいません(5.B.4)。立ち位置が決まっているのは、サーバー本人と、対角で受けるレシーバーだけです。ただし、サーブが相方に当たったらサーバーのフォルトです(7.E.4)。また、サーバーがボールを放す瞬間はレシーバーから見えていなければならず、見えなかったときはレシーバーがやり直しを求められます(7.B.3)。相方がサーバーのすぐ横に立つときは、この2つに気をつけてください。

ただし、戦術的には立つとよい場所があります。ここでカギになるのが、ピックルボール独特のツーバウンドルール(サーブとリターンは、それぞれ一度バウンドさせてから返す。10.A)です。

ダブルスのサーブ時の4人の配置図。サーブ側はサーバーも相方もベースラインの後ろで待ち、レシーブ側はレシーバーが深く構え、相方はキッチンラインのすぐ後ろに立っている様子を上から示した図解

  • サーブ側(あなたのチーム):サーバーも相方も、2人ともベースラインの後ろで待つのが基本です。ツーバウンドルールで、サーブ側は相手のリターンを一度バウンドさせてからでないと打てません。相方が前に出ていると、深いリターンをバウンドさせてから打つのが難しくなります。バウンド前に打てば、その時点でサーブ側のフォルトです(10.A.2)。
  • レシーブ側(相手):レシーバーは深く構えて対角のサーブを待ちますが、その相方は最初からキッチンラインのすぐ後ろに立っていることが多いです。ツーバウンドルールのおかげで、レシーブ側のほうが先に前を取れるからです。

つまりサーブした瞬間は、あなたのチームは2人とも後ろ、相手チームは1人が前という、サーブ側には少し不利な形からスタートします。ここから前に上がるための3球目の代表が、サードショットドロップです。サーブの位置は、この一連の陣形の"スタート地点"というわけです。ラリー中の動き全体はダブルスの陣形・ポジショニングに、初心者のミス全般は初心者がやりがちなミスTOP10にまとめています。


狙いどころ:位置が決まったら「まず入れて、深く」

位置が分かったら、狙いどころの優先順位も知っておくと得します。打ち方やコースの詳しい話はサーブ完全ガイドにまとめているので、ここでは3つだけ。

  1. まず、確実に入れる。エースを狙って攻めすぎても、フォルトすればサーブ権を手放すだけです。「入る・深い・ルールどおり」のサーブを優先しましょう。
  2. できるだけ深く。浅いサーブだと、相手は前に出やすくなります。深いサーブなら、相手をベースライン近くにとどめて、前に上がる時間を奪えます。
  3. 相手の苦手な側か、真ん中寄りへ。USA Pickleball の戦術解説は、サーブは深く、相手の苦手な側(多くの場合バックハンド)へ、としています。苦手な側が分からないうちは、真ん中寄りに打つと相手のリターンの角度を狭められます。

ベースラインの後ろに立つサーバーと、対角のサービスコートの狙いどころを上から見た図。ベースライン寄りの深いゾーンを狙いどころとして示し、優先順位として「まず確実に入れる・できるだけ深く・苦手な側か真ん中へ(迷ったら真ん中寄り)」の3つを添えている

💡 よしコーチのポイント サーブは「攻撃」ではなく「試合の入り口」です。PPAツアーの集計(2023年7月公表。2023年の最初の6大会で、男子・女子・混合ダブルスの決勝を合わせた18試合)では、プロのサーブは99.3%が入っていました(2,436本中、ミスは16本)。プロでもサーブのミスはほとんどしない、ということです。派手さより、深く・確実に入れて、五分のラリーに持ち込む。この地味な考え方が、勝率をじわじわ上げてくれると僕は考えています。


立つ側を間違えたら?

サーバー番号で左右を決めようとすると、立つ側を間違えやすくなります。サーブ前のコールで、スターティングサーバーの位置と自分たちの点の偶数・奇数が合っているかを確かめましょう。合っていなければ、立ち位置かコールのどちらかが間違っています。

なお2026年版のルールでは、サーバーや立ち位置の間違いはフォルトではありません。ラリーの途中で正しく指摘して止めればラリーのやり直し、ラリーが終わってから気づいたらその結果がそのまま有効です(5.C.1.a・5.C.2)。ただし、間違っていないのに止めると、止めた側のフォルトになります(5.C.1.b)。また、全員が正しい位置にいるのに、レシーバーではない人がサーブを返したときは、返した人のフォルトです(5.C.1.c)。

コールの数字が間違っていたときは、扱いが違います。止めてやり直せるのはリターンが打たれる前までで、リターンのあとに止めると止めた側のフォルトです(6.F.1・6.F.3)。ラリーが終わってから気づいたら、結果はそのままで、次のサーブの前にスコアを直します(6.F.4)。


まとめ

ダブルスの「サーブをどっちから打つか」問題、土台は2つでした。「サーブは対角へ」と、「左右が入れ替わるのは自分たちが得点したときだけ」。

そして最大のつまずきポイントは、「偶数=右」はそのゲームで最初にサーブした人(スターティングサーバー)の話で、相方はいつもその反対側だということ。サーバー番号(1・2)では左右は決まりません。だから1-0-2で「奇数なのに右から」打つ場面も、サイドアウト直後に「1-0-1なのに右から」打つ場面も出てきます。点を取ったときしか2人は動かない、と分かっていれば、もう大丈夫です。

テニスのダブルスには、この「最初にサーブした人が基準」という決まりがありません。だからテニス経験者ほど、最初に頭の切り替えが要るところだと思います。でも、これは才能でも運動神経でもなく、仕組みの問題です。次にコートに立ったら、サーブの前に「最初にサーブしたのはどっちだったか」を思い出してから、3つの数字をコールしてみてください。立ち位置の迷いは、それでほとんどなくなるはずです。テニスのサーブからの切り替えは、テニスのサーブ経験者へ|ピックルボールのサーブ転換ガイドにもまとめています。

「自分の立つ側、これで合ってる?」「ゲーム中にこんな場面があって混乱した」という疑問があれば、LINEで僕(よしコーチ)に気軽に聞いてください。具体的な場面に沿ってお答えします。友だち追加は、ピックルボール・ラボ公式LINEからどうぞ。画面右下の緑の「LINE 公式」ボタンからも追加できます。


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References

  1. USA Pickleball — 2026 Official Rulebook(2 定義:First Server・Starting Server/3.A.4.c ノンボレーゾーン/3.A.4.g サービングエリア/4.A 得点/5.B ダブルスのサーブ順と立ち位置/5.C 立ち位置の間違い/6.B・6.C スコアのコール/6.E.1 スコアの確認/6.F スコアの訂正/7.A サーブ時の足の位置/7.B.3 ボールを放す瞬間/7.C・7.D ボレーサーブとドロップサーブ/7.E サーブの落ちる場所/8.C ラインに落ちたサーブ/10.A ツーバウンドルール/18.C スターティングサーバーの目印)
  2. USA Pickleball — Pickleball Scoring & Positioning(Side Out Scoring)
  3. USA Pickleball — Top 7 Pickleball Doubles Strategy Tips to Win More Games(2025年9月)
  4. PPA Tour — By the Numbers: Serves and Returns(2023年7月)
  5. Pickleheads — Pickleball Doubles Rules
よ
Author
よしコーチ / Pickleball Lab 代表
元スキー世界大会出場選手・現役テニスコーチ。2026年LAでピックルボールと出会い、国内外100本以上のパドルを試打。Engage Pickleball唯一の日本正規代理店(2026年5月時点)。
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